ポーランドの姉より。~Drogie Siostry~ 募金活動に携わって思ったこと。

--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2011-04-28

募金活動に携わって思ったこと。

「平穏な日々」というのは恐らくどこにいても大体似たようなものなんだと思います。
しかし今回のようにその「平穏」が覆された時、それは被災地いる方々、
日本にお住まいの方々、そして外国にいる者とでは当然対応が違ってきます。
今日は募金活動をするに際し、直面した葛藤について。

3月11日、私は地震速報が朝のニュースで流れるのを横目に大学へ出勤しました。
教室の準備をしつつも携帯は鳴り続け、友人や生徒らから深刻な被害状況を徐々に
知らされる中、世界が引っくり返ったような気持ちで帰宅しました。
その後は、家族への連絡や友人からの電話、ネットニュースを必死で追いながら
週末を過ごしたように記憶しております。生きた心地がしなかった。

数日経過した時、ポーランドでも義援金を募ろうという動きが起こったわけですが、
当時その筆頭に立ったのが在ポ邦人だったことに、実はちょっと躊躇いがありました。

まず第一に、平均月収が日本の半分にも満たないポーランド人に対し、
先進国である日本を援助してくれるよう我々日本人が訴えかけることに
果たしてどれだけの意義があるのか。
だったら自分でさっさと募金した方がいいと思いました。

ポーランドで以前、日本人観光客役としてCMに出演したことを思い出しました。
その時のギャラは、自分が日本人だったからこそ儲けさせてもらった泡銭。
ならばお国の役に立ててもらおうと、全額を義援金として寄付しました。

実際ポーランド人の大半は「日本はお金持ちの国」だと認識していると思います。
震災の様子は酷いけれど、立ち直れるくらいの経済力があるはず。
日々の生活で精一杯なのに、支援などする余裕はないと思っている人は少なくない、
それがポーランドの世論だと知りながら、なお経済的援助を募ることになるのは
心苦しいと当初は思いました。ポーランド人が自主的に寄付するならまだしも。

「個人の貯蓄率が高い日本は援助がなくても復興できる」
在ポーランド日本大使
我が大学で行われた講演で、在ポ日本国の楠本特命大使のお言葉。

さて、ワルシャワで私が知る限り発起した募金活動は3つ。
ワルシャワで街頭募金を行い、被災した地方自治体へ直接寄付する
『共に日本を建て直そう』グループ、Odbuduj z nami Japonię。
クラシック音楽のチャリティコンサートをワジェンキ公園で行い、
赤十字へ寄付する『千羽鶴』グループ、Tysiąc Żurawi。
そして当ブログでも書いてきた、チャリティコンサートと文化イベント、
折り鶴リレーなどを行い、ポーランドの人道的活動団体PAHを通して支援する
『万羽鶴』グループ、Milion Żurawi。

第二がこれ。他国と比べ邦人が少ないワルシャワでさえ、こうして三手にも別れて
支援活動が行われた所以は、図らずとも様々な思惑があったことは否めません。
「どうして一致団結しないの?」ポーランド人からは、そう問われることが多だありました。

被災地を支援するにあたって、活動形態や募金先が多種多様なのは自然なことで、
逆に健全とも思う反面、個人的な時間の制約や信条からどれか一つの募金活動に
加担するとなると心無いことを言われました。
『万羽鶴プロジェクト』の一環として行われた文化イベントに対して、
「一つ一つの空間が感じられないごちゃごちゃしたものにはしないでください」とか、
「寄付先が気に入らないから協力したくない」だとか。井の中の蛙とはこのこと。
この場に及んで水を差すようなこんな批判をするなんて、本当に酷いと思います。
日本人特有の村意識をそっくりそのままポーランドに持ち込んだような
そんな嫌な部分がこうした誹謗中傷に滲み出てる気がしました。

個人的に携わる機会があったのは『万羽鶴プロジェクト』だったわけですが、
この2点を踏まえて、なおこの募金活動が有意義だったと思う理由を少し。

『万羽鶴プロジェクト』は日ポハーフの兄弟と日頃から仲良くしている悪友Aちゃんが
発起人でした。他の募金活動とは違い、日本を支援したいと思う
親日のポーランド人を結集させようと動いた彼らに同意する形で多方面から
多くのポーランド人が集ってプロジェクトは一気に前進し始めます。

ラジオやテレビでの宣伝に始まり、大学、企業などのスポンサーを探し当て、
ポーランド人アーティストらの承諾も頂き、10日という短時間であれだけの企画を
実現できたのは、多くのポーランド人仲間の協力があったからに他なりません。
睡眠時間を削り、それぞれ多忙なスケジュールをこなしながらも、
常に一歩先を行く形で精一杯プロジェクトに打ち込む彼らに胸打たれました。

わたくしも、大学の教員としてお声をかけて頂いたわけですが、
兎に角「被災地を支援したい日本人を支援するための」募金活動だけには
したくないという心情が切にありました。つまりポーランド人が主体的に支援する、
そのような活動の場を設けるためのお手伝いと心得て協力させていただきました。

ポーランドで集る義援金は世界的に見たら微々たるものに違いありません。
しかしだからといって今回の震災を目の当りにして動かずにいられないと感じた
ポーランド人はたくさんいるはず。募金額も大切ですが、一団となって被災地を
想う気持ちを共有し、手が届かないながらも、経済的には及ばないながらも、
それでも弔慰を表す場を共に持つ事の意義は、ポーランドに住む一日本人として
くみ取るに値する最低限なことと思い、賛同させていただきました。

チャリティコンサートや千羽鶴リレーを開催した裏には、このような想いがありました。
特に大学で仕事をさせて頂いている自分は、必ずしも裕福ではない学生らに対し、
募金活動の旨を伝えるにあたって詳細の注意を払う必要がありました。
しかし共に折り鶴を作りながら、一日でも早く日本の方々に元気になってもらいたい、
そう願うことは我々一緒であり、その共感こそ国際交流という場に相応しい支援だと、
金銭以上に大きな意味を見出せた活動内容に納得し参加しました。
もちろん寄付金も確たる額が集ったからこそ大きな声で言えることなのですが。

原発の問題も解決せず、日々ある余震に不安を抱く日本に在住の皆様方には
遠い国に平和に暮らす者たちの戯言のように聞こえるかもしれません。
確かにポーランドに暮らす日本人として現状をつかむことは日々難しくなっております。
しかし先述した通り、「平穏」を覆された人間は、その置かれた場所によって
受けた「傷」も違ってくるなら、その癒し方も違ってくるということがあります。

3月11日、我々の住む世界は確かに変わってしまいました。
そしてポーランドではポーランドに住む者としての対応の仕方がありました。
他者を助ける名目で己の傷を癒そうとすることが「自己満足」というならば、
それは単純でありながら、実に人間的で自然な営みなのかもしれません。

今日のブログエントリー、様々な思惑を煩い、
重い腰を上げて書きあげた長い文章になってしまいましたが、不鮮明なところは
そのような空気があったことをご了承の上、読破してくださったこと、感謝いたします。

海外住まいは長いと自負する姉ですが、自国の緊急事態に押され、
外国の方々に助けを求めたのは初めてのことでした。

姉。

そしてそこには確かに、手を差し伸べてくれる人がいたことに救われました。

=======================
ブログランキング参加中。
久しぶりのブログ更新。応援クリックお願いします!



にほんブログ村 海外生活ブログ ポーランド情報へ

更新の励みです!ありがとうございます!
=======================
スポンサーサイト

テーマ : ポーランド
ジャンル : 海外情報

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

何度も読み返しました。

ブログ。
お久しぶりでございます。

今回の震災で
おそらく多くの人が
何かしらの葛藤を
されたと思います。
私もその一人ですが。

ほぼ一ヶ月半が過ぎていく中
ポ姉様と同じく度々遭遇する「村社会」。
「組織社会」といったほうが近いかな~。

私は
原発被害がここまで酷くなったのも
物資などの支援の滞りが発生しているのも
政治がうまくいかないのも
すべてとは言いませんが
「組織社会」が原因の一つだと
感じております。

この後に及んで
一致団結できない日本人。
政治家がいい例ですよね。
やはり島国だから
民族意識が低いのが原因でしょうか。

この「組織社会」がなかったら
飛躍的に発展する能力、
今回に至っては解決能力を
持っているのにと
つくづく思います。

でも怒っても嘆いても
前には進まないので

腹の中は隠しつつ
結果として個人規模では達成できない
大多数の方々が助かる方向へ
つなげていきたいです。

最後に

私は昨年ワルシャワとクラクフへ
足を運んでおりますので
今回、在ポの方々が発起人とはいえ
ポーランド人の中にも
日本の災害に対して
気にかけてくれた人がいた
ということに
大変驚きと感動をおぼえました。

やはり他国に比べれば
ポーランドと日本との交流は
圧倒的に少ない。

それにも関わらず!

だからこそ
組織社会に縛られない
行動を日本にはとってほしいのです。

でもこうやって日々
セクショナリズムを無視する私は
最終的に会社に居づらくなるのです。
また転職でしょうか。

しゃーない。www

指一本動かさずに他人の行動には色々言う輩はいつもいるものですが、相手にしない事だと自分の母はいつも言ってました。真実だとこれを読んだときつくづく思いました。自分たちが何ができるかを日本中で考えなきゃいかんのです。あなたがでなく他人がでなく自分がすべきことをする。ボ姉は自ら行動したんだと思います。

glycyrさんへ。

glycyrさん、お久しぶりです!
長文なのに何度も読み返してくらたなんて!(涙。
コメントの「組織社会」と聞いてなるほど、と思いました。
あまり「同胞」という言葉を使わない日本人、確かに民族意識が低く、いざ団結したら素晴らしい国づくりができるのに、と思いながらなかななそうはいかないんですよね。ワルシャワにおける募金活動も、個人の範囲を超えたところで動こうと思うと、例えば日本企業相手にスポンサー探しをしようにも、やはり金銭が絡み責任問題が発生するとかで、なかなか組織で動いてくれず苦戦しました。ポーランドには「ポーランド人が二人集れば、政党が三つできる」という言葉あって、つまりは団結力の弱さを皮肉った言葉なんですが、日本人も「組織意識」に縛られて、団結できないところでは同じだと思いました。
いやしかし、ポーランドは実に親日的だと思います。そして世界的に見ても日本という国は本当に尊敬されているし、単純に好かれていると思います。国内にいると批判的なことばかり言われているように受け止めがちですが、決してそんなことはなく、謙遜もほどほどにもうちょっと誇りを持って生きるべきなのかもしれません。
ま、まぁ、組織の中の「和」を重んじて小さく団結できるのも長点と思って、私も大学では立場をわきまえてこじんまりと頑張っております(笑。こりゃもーしゃーない!

エンジェルruさんへ。

エンジェルruさん、お久しぶりです!こんにちは!
力強いお言葉ありがとうございます!いや私も大きな流れにあれよあれよと巻き込まれて気づいたらやったったー感があることはあるんですが、それでも他に頑張っている方たちに批判的な言葉を浴びせるようなマネはしまいと思ってます。そして仰る通り、今こそ日本中で、海外にいるものも含め、これからの不安な時期をどう生き抜くかを考えていかなければなりませんですね。日本を支援する言葉や買占めを控えるような運動、節電に協力する人々の様子や募金した方々のお話をネットで読んで勇気付けられながら、自分もできる範囲で頑張っていこうと思っております。

プライベートメッセをくださった方へ。

コメントありがとう!
私も今回は本当に勉強になることがたくさんありました。「募金」と一言に言ってもいろいろ難しいことがあって、主体的に寄付するのと募金を集めるのとでは全然違うことだという社会勉強になりましたよ。
そして原発問題、私も全くもって同意見であります。原発なんかに頼らずに生きられたらいいんだけれども、緩やかな「乗り換え」を望むかな。無闇に反対して圧力をかけたら、今ある原発を効率の良いものやより安全性の高いものに替える予算が滞り、古くて危険なものをとことん使ってしまうんではないかと、それが一番怖ろしいです。我々の消費電力や生活習慣を変えるにはまだまだ時間が必要だし、経済的打撃を回避したいのも事実。これ以上数を増やさず、でも改良しつつ、徐々にクリーンに。ダメかしらね・・・ ただ一度失われた信用ななかなか戻ってはこない。本当にこればかりは落胆せざるを得ないですな。毎日明かされる情報にいろいろ翻弄されつつ、とにかく過剰反応しないように自分に言い聞かせております。最後のお言葉に心ときめかせつつ、ありがとう!

通りすがりですがスミマセン、まだまだ全く落ち着かない状況ですし書き込み等もする現実的にも心身的にも状況ではないのですがどうしても一言だけ聞き捨てならない事がありまして↓
「個人の貯蓄率が高い日本は援助がなくても復興できる」我が大学で行われた講演で、在ポ日本国の楠本特命大使>ひどいですね‥政治家や情報を発信するマスコミ等がこうやって日本人ないがしろな嘘ばかり率先して垂れ流しているんですね。いつでも個人の頑張り頼り&お金持ち?一部を除いて日本人は普段からギリ〃の生活をしています。第三国世界のほうが良い所取りで普段から余程余裕ある暮らしをしていますし&他国の倍まで働かされた頑張ったお金は一体どこに流れ続けていたのか続けているのか。地震、津波、放射能には我慢できても‥。意味まとまらなくてスミマセン。(読み流してください)とにかく身近な方々ご無事な事を祈っておりますし、素敵なブログをありがとうございました。

名無し様へ。

未だに必要のないODAなどが某国へ続けられている中、日本の未来を覆う暗い影への疑念、わたくしも遠くにいながら抱いております。日本が世界に対しできる貢献は別の所にあると信じ、今は国民のためにあるべき国の姿を政治の場で模索されることを願っております。国民を守ることができる国こそが真の国。一時は国土を失ったポーランドに住む者として痛感します。
プロフィール

poane

Author:poane
ワルシャワに越して6年目。
日本に残した妹2人を想いながら嫁ぎ先での暮らしぶりを綴る。

Twitter
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。